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海外在住でも医師として働ける?
オンライン診療・自由診療・製薬/CRO・医療AIの選択肢

海外で暮らしたい日本の医師に向けて、日本の医師免許や臨床経験を活かしながら検討できる働き方を整理します。

対象:海外移住に関心のある医師 カテゴリ:働き方・求人 更新:2026年

はじめに:医師だからこそ、海外に行けないと思っていませんか

医師として働いていると、ふとした瞬間にこう思うことがあります。

このままずっと、日本の病院やクリニックで働き続けるのだろうか。
当直、外来、書類、オンコール、カンファレンス、急な呼び出し。
忙しく働いているのに、思ったほど自由な時間は増えない。
収入はあるはずなのに、税金や生活費、教育費、住宅費を考えると、将来に大きな余裕があるわけでもない。

海外で暮らしてみたい。
家族に違う環境を見せたい。
子どもに英語や国際的な環境を経験させたい。
自分自身も、もう少し自由な場所で、医師としての経験を活かしたい。

そう思ったとしても、多くの医師はすぐに壁にぶつかります。

「日本の医師免許しかないのに、海外で働けるのか」
「現地の医師免許に書き換えなければ無理なのではないか」
「海外に住んだら、日本の医師としての収入は途切れるのではないか」
「オンライン診療は海外からやっていいのか」
「製薬会社やCROに行くには、臨床医からでも可能なのか」
「医療AIや医療監修の仕事は、実際に収入になるのか」

この疑問は当然です。

医師という仕事は、国家資格に強く結びついています。日本の医師免許は日本国内で医師として診療するための資格であり、海外でそのまま臨床医として働けるわけではありません。アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、EU諸国などで現地の医師として働くには、それぞれの国の医師登録制度、試験、語学要件、研修要件を満たす必要があります。

一方で、海外在住の医師が取れる道は、現地で医師免許を取得して現地病院で働くことだけではありません。

日本の医師免許や臨床経験を活かしながら、海外に暮らす方法は複数あります。

  • 日本の医療機関に所属してオンライン診療に関わる
  • 自由診療のオンライン問診・処方判断を行う
  • 海外在住日本人向けの医療相談に関わる
  • 医療記事や医療広告の監修を行う
  • 製薬会社のメディカルアフェアーズやメディカルドクターを目指す
  • CROでMedical Monitor、PV Physician、Clinical Research Physicianなどに進む
  • 医療AIの回答評価、監修、データ作成に関わる
  • 医療スタートアップやヘルスケア企業の顧問になる
  • 将来的に海外医師免許取得を目指しながら、移行期の収入を確保する

つまり、問題は「海外に住んだら医師として働けない」のではなく、どの国に住み、どの仕事を選び、どの法制度・契約形態・税務に注意するかです。

この記事では、海外で生活したい日本の医師に向けて、現実的に考えられる働き方を整理します。

日本の医師数から見る「海外志向医師」というニッチ

日本の医師は決して少ない職業ではありません。厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計によると、2024年末時点の届出医師数は347,772人です。

このうち大半は、病院や診療所などの医療施設に従事しています。医師という資格は、基本的には日本国内の医療制度と強く結びついているため、多くの医師が日本国内の医療機関で働くことになります。

一方で、医師の働き方は少しずつ変わっています。オンライン診療、自由診療、産業医、製薬会社、CRO、医療AI、医療監修、医療ライティング、海外在住日本人向け医療相談など、病院やクリニックの常勤勤務以外の選択肢も増えています。

ただし、「海外で生活したい医師」は、まだ大きな市場ではありません。むしろ、かなりニッチです。しかし、ニッチであることは必ずしも悪いことではありません。

医師の中には、次のような層が一定数います。

  • 留学経験がある医師
  • 海外学会や海外研究に関心がある医師
  • 子どもの教育を考えて海外移住を検討する医師
  • 日本の医療現場の働き方に疲れている医師
  • FIREや資産形成を考える医師
  • 英語を使った仕事に関心がある医師
  • 製薬会社やCROなど非臨床キャリアに関心がある医師
  • オンライン診療や自由診療で場所に縛られない働き方を目指す医師

この層にとって重要なのは、「海外で現地医師としてすぐ働けるか」だけではありません。むしろ最初に必要なのは、海外から働ける医師案件が実際にあるのか、フルリモート求人と海外勤務可求人は何が違うのか、日本のオンライン診療を海外から行う場合の考え方、非居住者税務、住民票、源泉徴収、法人設計、家族帯同時のビザ、学校、生活費、保険といった実務情報です。

図表:医師の働き方と海外生活との相性

日本の医師の多くは医療施設で働いています。これは、医師のキャリアが基本的には日本国内の病院・診療所勤務を中心に設計されていることを示しています。

一方で、医療施設以外で働く医師、企業や行政、研究、その他の業務に従事する医師も存在します。この「医療施設以外」の領域が、製薬会社、CRO、医療AI、医療監修、海外在住医師の新しい働き方と重なる部分です。

区分内容海外生活との相性
病院・診療所勤務日本国内の臨床勤務低い。海外在住とは両立しにくい
オンライン診療日本の医療機関に所属して遠隔で診療案件によっては可能性あり
自由診療オンラインAGA、ED、GLP-1、美容内服、ピル等比較的相性あり。ただし医療機関の運用次第
医療相談診断・処方ではなく相談・助言海外在住医師と相性が良い
製薬会社Medical Affairs、Medical Doctor、PV等英語・専門性があれば相性あり
CROMedical Monitor、PV Physician等海外・リモートとの相性あり
医療AI・監修AI回答評価、記事監修、医学的レビュー副業・リモートと相性あり
現地臨床現地医師免許を取得して診療国ごとの免許制度次第。難易度は高い

海外在住医師の働き方は、大きく7つに分けられる

海外で暮らしたい日本の医師にとって、現実的に検討できる働き方は大きく7つあります。

  1. 海外勤務可のオンライン診療
  2. 自由診療オンライン問診
  3. 海外在住日本人向け医療相談
  4. 医療監修・メディカルライティング
  5. 製薬会社メディカルドクター・Medical Affairs
  6. CRO・PV・Medical Monitor
  7. 医療AI・ヘルスケアスタートアップ顧問

それぞれ、必要なスキル、法的注意点、収入の安定性、海外生活との相性が異なります。以下で順番に見ていきます。

1. 海外勤務可のオンライン診療

もっとも直感的にイメージしやすいのが、オンライン診療です。

日本の医師免許を持つ医師が、日本の医療機関に所属し、日本国内の患者に対してオンラインで診療を行う。この働き方は、海外生活との相性があるように見えます。

ただし、ここには大きな注意点があります。「フルリモート」と「海外勤務可」は違うということです。

求人票に「完全在宅」「フルリモート」「全国どこでも勤務可」と書かれていても、実際には日本国内在住が前提のことがあります。理由は、医療機関の管理体制、保健所対応、緊急時対応、電子カルテや処方の運用、本人確認、税務・労務管理、国内銀行口座、国内電話番号などが絡むためです。

一方で、求人票上に「海外からでも可能」「海外在住医師歓迎」と明記されている案件も一部存在します。

Aurelia Doctors Abroad では、この違いを重視しています。単に「オンライン診療求人」を集めるのではなく、海外勤務可と明記されているか、海外在住で相談可能か、国内在住限定かを分けて掲載することを目指しています。

オンライン診療は海外から一律に禁止されているのか

医師の中には、こう考える人もいるはずです。

「そもそも海外から日本の患者にオンライン診療をしていいのか」
「医師は医療機関内にいなければならないのではないか」
「海外から診療したら違法ではないのか」

この疑問はとても重要です。

結論としては、海外からのオンライン診療が一律に禁止されている、とは言い切れません。

厚生労働省のオンライン診療に関する指針では、オンライン診療を行う医師は必ずしも医療機関内にいる必要はない、という考え方が示されています。ただし、医療機関への所属、患者情報を適切に扱える環境、第三者に情報が漏れない場所、緊急時に対面診療につなげる体制などが求められます。

つまり、ポイントは「医師が海外にいるかどうか」だけではありません。

  • 日本の医師免許を持つ医師であること
  • 日本の医療機関に所属していること
  • 所属医療機関と問い合わせ先を明らかにすること
  • 患者情報を適切に扱える環境で実施すること
  • 第三者に患者情報が伝わらない環境で実施すること
  • 急病急変時に対面診療へつなげる体制を整えること
  • 医師所在地国の法令や就労・税務上の扱いを確認すること
  • 患者所在地が海外の場合は、その国の医事法令も確認すること

そのため、サイト上では「海外からでも絶対に問題ない」と断定するのではなく、「一律に禁止されているわけではないが、求人元医療機関の運用、患者所在地、医師所在地国の法令、緊急時対応体制などを確認する必要がある」と整理するのが適切です。

海外在住医師がオンライン診療を考えるときの確認項目

確認項目内容
求人票の記載「海外からでも可能」「海外在住可」と明記されているか
医療機関の方針医師が海外在住でも契約可能か
診療内容保険診療か自由診療か
処方の有無処方箋発行、薬局連携、配送体制
患者所在地日本国内患者か、海外在住患者か
医師所在地国滞在国で遠隔診療行為がどう扱われるか
契約形態雇用、業務委託、顧問、スポット
税務源泉徴収、非居住者税務、居住国での申告
本人確認医師免許、身分証、国内住所・電話番号の要否
緊急時対応対面診療・救急受診にどうつなげるか
情報管理通信環境、個室、電子カルテ、録画録音ルール

このように見ると、オンライン診療は可能性がある一方で、単純に「パソコンがあればどこでも診療できる」という話ではありません。

2. 自由診療オンライン問診

海外在住医師と相性が比較的良い領域のひとつが、自由診療のオンライン問診です。

代表的な領域は、AGA、ED、低用量ピル、アフターピル、美容内服、ニキビ治療、メディカルダイエット、GLP-1、SGLT2阻害薬、メトホルミン、睡眠・メンタル相談、禁煙外来、漢方相談などです。

自由診療は保険診療と異なり、診療報酬上の算定要件に縛られにくい面があります。そのため、医療機関によってはオンライン問診、定型的な禁忌確認、処方判断、患者説明をリモートで行う医師を募集している場合があります。

ただし、自由診療だから何でも自由というわけではありません。自由診療であっても、医師法、医療法、オンライン診療指針、医療広告ガイドライン、個人情報保護、薬機法、処方に関するルールなどは関係します。

また、GLP-1やダイエット薬などは、医学的リスク、副作用、適応外使用、説明義務、薬剤供給、冷蔵配送、海外持ち出しなどの論点もあります。

確認項目内容
診療領域AGA、ED、ピル、GLP-1、美容内服など
医師の役割問診のみか、診断・処方判断まで行うか
患者説明副作用、禁忌、緊急受診の説明があるか
処方体制薬局連携、配送、処方箋管理
広告表現医療広告ガイドラインに配慮しているか
海外勤務可否求人票または契約上、海外在住が許容されるか
報酬時給、件数単価、固定報酬
時差日本時間での診療枠に対応可能か
税務非居住者としての報酬処理

自由診療は、海外在住医師にとって収入源になり得る一方で、運営会社・医療機関のコンプライアンス水準に差があります。単に報酬だけで選ぶのではなく、診療体制、薬剤管理、患者説明、広告表現、医師責任の範囲を必ず確認する必要があります。

3. 海外在住日本人向け医療相談

海外在住医師と相性が良いもうひとつの領域が、海外在住日本人向けの医療相談です。

海外で生活している日本人は、現地の医療制度がわからない、何科を受診すればよいかわからない、症状を英語や現地語で説明できない、日本の薬と現地の薬の違いがわからない、子どもの体調不良時に不安になる、メンタル不調を日本語で相談したい、現地医師の説明を理解できない、一時帰国時にどの検査・診療を受けるべきかわからない、といった不安を抱えやすいです。

このような人に対して、日本語で医師が相談に乗るサービスがあります。ここで重要なのは、診療・処方ではなく、医療相談として設計されている場合が多いという点です。

医療相談では、診断や処方を行うのではなく、症状の整理、受診科の提案、現地受診の目安、緊急受診が必要なサイン、日本の医療機関に相談すべき内容、一時帰国時の受診計画、家族への説明、現地医師への伝え方などをサポートします。

これは、海外在住医師にとって相性が良い働き方です。海外生活の不安や現地医療のわかりにくさを、自分自身も理解しやすいからです。

特に精神科、内科、小児科、皮膚科、産婦人科、救急、総合診療の経験がある医師は、海外在住日本人向け医療相談と相性があります。

4. 医療監修・メディカルライティング

海外在住医師が比較的始めやすい仕事に、医療監修やメディカルライティングがあります。これは、診療そのものではなく、医師としての知識や経験をコンテンツ作成に活かす仕事です。

  • 医療記事の監修
  • 病気解説記事の執筆
  • 医療広告の表現チェック
  • 自由診療LPの監修
  • クリニックコラムの執筆
  • 薬剤説明文のレビュー
  • 医療アプリ内コンテンツの監修
  • SEO記事の医学的確認
  • 論文要約
  • 学会資料作成
  • 患者向け説明資料作成
  • 英日・日英の医療翻訳チェック

この領域のメリットは、場所に縛られにくいことです。海外在住でも、メール、Google Docs、Word、Notion、Slack、Chatworkなどを使って完結しやすく、時差の影響も比較的少ないです。

一方で、単価が低い案件に巻き込まれやすいという注意点もあります。「医師監修」と言いながら、1記事数千円程度の安い案件もあります。医師としての責任や専門性を考えると、あまりに低単価の案件は避けた方がよいでしょう。

確認項目内容
掲載媒体クリニックサイト、医療メディア、広告LP、アプリ等
名前の掲載実名・顔写真・経歴が出るか
監修範囲医学的正確性のみか、広告表現まで見るか
修正権限問題表現を修正できるか
報酬記事単価、時給、月額顧問
継続性単発か、月額契約か
法的責任契約書上の責任範囲
掲載後変更監修後に無断変更されないか

5. 製薬会社のメディカルドクター・Medical Affairs

海外志向の医師にとって、長期的なキャリアとして重要なのが、製薬会社です。

製薬会社では、Medical Doctor、Medical Advisor、Medical Affairs、Medical Lead、Medical Director、Clinical Development Physician、Medical Science Liaison、Pharmacovigilance Physician、Safety Physician、Clinical Research Physicianなどの職種で医師が活躍することがあります。

これらは、患者を直接診療する仕事ではありません。医学的専門性を使って、製品戦略、臨床開発、KOL対応、安全性評価、論文・学会情報の整理、社内教育、医療者向け情報提供などに関わります。

製薬会社の仕事は、海外生活と相性がある場合があります。英語会議が多いこと、グローバルチームとの協働があること、外資系企業ではリモート・ハイブリッド勤務があること、海外出張や海外赴任の可能性があること、臨床現場に比べて場所の制約が少ない職種があること、医師資格と臨床経験が価値になることが理由です。

ただし、製薬会社への転職は簡単ではありません。臨床医から未経験で入る場合、一定の臨床経験、専門領域の知識、英語力、論文読解力、ビジネスコミュニケーション、製薬業界への理解、治験・GCP・安全性情報・薬事の基礎知識、KOLとのコミュニケーション能力などが求められることがあります。

特にMedical AffairsやMedical Advisorは、単に「医師免許がある」だけでは不十分です。医師としての専門性に加えて、製薬会社の中でどのように価値を出せるかを示す必要があります。

6. CRO・PV・Medical Monitor

製薬会社と並んで、海外志向医師が検討すべき領域がCROです。CROはContract Research Organizationの略で、製薬会社やバイオベンチャーの臨床試験、治験、データ管理、安全性評価、薬事関連業務などを支援する企業です。

医師が関わる職種としては、Medical Monitor、Clinical Research Physician、Drug Safety Physician、PV Physician、Safety Medical Reviewer、Clinical Development Consultant、Medical Reviewerなどがあります。

この領域は、海外生活との相性が比較的あります。CROの仕事は国際共同治験、英語文書、グローバルチーム、リモート会議が多く、臨床現場のように毎日患者の前に立つ必要がない職種もあるからです。

Medical Monitorは、治験中の医学的レビューや安全性判断、プロトコールに関する医学的助言などを行います。PV PhysicianやDrug Safety Physicianは、有害事象、安全性情報、因果関係、シグナル評価などに関わります。

臨床医にとってはやや聞き慣れない仕事ですが、医師としての知識が必要とされる領域です。ただし、CROも未経験から簡単に入れるわけではありません。医師免許、臨床経験、英語力、GCPの理解、治験・臨床開発の基礎知識、安全性情報の読み取り、論文・プロトコールの読解、グローバルチームでのコミュニケーションなどが求められやすいです。

7. 医療AI・ヘルスケアスタートアップ

近年、医師の新しい働き方として注目されているのが、医療AIやヘルスケアスタートアップとの関わりです。

具体的には、AI回答の医学的評価、医療チャットボットの監修、AI問診の設計、診療支援AIの評価、医療データセット作成、医療安全性レビュー、患者向け説明文の監修、メンタルヘルスアプリの顧問、DTxの臨床設計支援、医療SaaSのプロダクト監修、自由診療プラットフォームの診療フロー設計などがあります。

この領域は、海外在住医師と非常に相性があります。リモートで完結しやすく、時間の自由度が比較的高く、医師としての専門性が価値になり、日本語と英語の両方が活き、精神科、内科、小児科、皮膚科など幅広い領域で需要があるためです。

確認項目内容
業務内容回答評価、監修、データ作成、顧問など
医療責任診療行為ではないか、責任範囲はどこか
守秘義務患者情報や機密情報を扱うか
居住国制限海外在住でも登録・勤務可能か
報酬時給、案件単価、月額顧問
支払い日本口座、海外口座、PayPal等
税務居住国での申告が必要か
専門性自分の診療科と合っているか

仕事別の比較表

海外在住医師が検討しやすい働き方を比較すると、以下のようになります。

働き方海外生活との相性収入安定性専門性英語注意点
オンライン診療中〜高医師免許・診療科低〜中海外勤務可否、医療機関運用、法令確認
自由診療問診問診・処方判断コンプライアンス、広告、薬剤管理
海外在住者向け医療相談総合力・説明力診療との線引き
医療監修・ライティング低〜中専門知識低〜中単価、責任範囲
製薬会社専門性・企業経験未経験転職の難易度
CRO・PV中〜高臨床+治験理解GCP、英語、時差
医療AI低〜中医学的評価力中〜高案件の安定性、責任範囲
現地臨床国による現地免許試験・語学・研修要件

この表からわかるように、海外生活との相性が高い仕事ほど、必ずしも収入が安定しているとは限りません。逆に、製薬会社やCROのように収入が安定しやすい仕事は、英語力や業界理解が必要になります。

海外在住医師に向いている人・向いていない人

向いている人

  • 自分で情報を調べられる
  • 法律・税務・契約の確認を面倒がらない
  • 英語に抵抗がない
  • 日本時間に合わせて働ける
  • オンラインコミュニケーションに慣れている
  • 収入源を複数持つことに抵抗がない
  • 臨床以外の仕事にも興味がある
  • 家族の生活や学校も含めて計画できる
  • 不確実性にある程度耐えられる
  • 海外生活そのものに強い動機がある

向いていない人

  • 日本の常勤勤務と同じ安定性を求める
  • 手続きや税務をすべて避けたい
  • 英語や現地語に強い拒否感がある
  • 収入が一時的に下がることに耐えられない
  • 医師免許だけで自動的に仕事が来ると思っている
  • 法的確認をせずに「できるだろう」で進めてしまう
  • 時差や通信環境に対応できない
  • 家族の生活設計を後回しにする

海外移住前に考えるべき10の質問

  1. どの国に住みたいのか:ビザ、税制、生活費、学校、医師免許の難易度は国ごとに大きく異なります。
  2. 何年住む予定なのか:短期滞在なのか、長期移住なのか、永住まで考えるのかで選択肢は変わります。
  3. 日本の仕事をどれくらい残すのか:オンライン診療、自由診療、監修、企業勤務など収入源の設計が必要です。
  4. 住民票と税務をどうするのか:非居住者判定、日本源泉所得、居住国での申告などを確認します。
  5. 家族帯同か単身か:家族帯同の場合、ビザ、住居、学校、医療保険、配偶者の生活が重要です。
  6. 子どもの学校をどうするのか:インターナショナルスクール、現地校、日本人学校、補習校を検討します。
  7. 英語や現地語をどうするのか:製薬会社、CRO、医療AI、現地臨床を目指すなら英語力は重要です。
  8. 医療保険をどうするのか:現地公的制度、民間保険、グローバル医療保険の確認が必要です。
  9. いつ日本に帰る可能性があるのか:将来の帰国や一時帰国、医師としてのキャリア維持も考えます。
  10. 最初の1年の収入をどう確保するのか:移住初期は支出が増えるため、生活資金と収入源を用意します。

海外で暮らしたい医師におすすめの進め方

Step 1:情報収集

まずは海外勤務可の医師案件、国別の移住条件、税務、学校、生活費を調べます。この段階では、まだ応募しなくても構いません。自分にどの選択肢があるのかを把握することが目的です。

Step 2:働き方の候補を決める

オンライン診療、自由診療問診、医療相談、製薬会社、CRO、医療AI、医療監修、現地医師免許取得などの中から、現実的な候補を2〜3個選びます。

Step 3:国を絞る

候補国を選ぶときは、ビザ、税制、生活費、学校、治安、気候、英語の通じやすさ、日本との時差、医師免許の将来性を比較します。

Step 4:税務・ビザを確認する

仕事と国が見えてきたら、税務とビザを確認します。特に医師は収入が高く、法人、役員報酬、業務委託、源泉徴収、非居住者税務が絡みやすいため、専門家に確認した方が安全です。

Step 5:小さく試す

海外勤務可求人に問い合わせる、副業で医療監修を始める、医療AI案件に登録する、製薬/CROの求人を見てみる、数週間〜数か月の海外滞在を試す、家族で候補都市を見に行くなど、小さく試すのがよいです。

Step 6:移住計画を作る

最後に、仕事、ビザ、税務、学校、住居、保険、資金計画をまとめて移住計画を作ります。医師の海外移住は、勢いだけで進めると大きなリスクがありますが、情報を整理し、段階的に準備すれば、現実的な選択肢になります。

よくある誤解

誤解1:海外に住んだら日本の医師免許は使えない

日本の医師免許は、海外でそのまま現地臨床に使えるわけではありません。しかし、日本の医療機関に所属するオンライン診療、自由診療、医療相談、医療監修、製薬会社、CRO、医療AIなど、日本の医師免許や臨床経験を活かせる仕事はあります。

誤解2:フルリモート求人なら海外から働ける

これは違います。フルリモートでも日本国内在住が必要な案件は多くあります。海外勤務可と明記されているか、必ず確認が必要です。

誤解3:製薬会社は研究経験がないと無理

研究経験があると有利ですが、すべての職種で必須とは限りません。臨床経験、専門性、英語力、疾患領域の知識、企業でのコミュニケーション能力が評価される場合もあります。

誤解4:医療AIは医師なら簡単に稼げる

医療AI案件は増えていますが、案件の質や単価には差があります。AI回答評価や監修は副業として始めやすい一方、安定収入にするには実績や専門性が必要です。

誤解5:税務はあとで考えればいい

海外移住では、税務を後回しにすると大きな問題になることがあります。住民票、非居住者判定、日本源泉所得、居住国での申告、法人、役員報酬、社会保険などは、移住前に整理すべきです。

まとめ:海外で暮らす医師という選択肢は、現実にできる

海外で暮らしたい医師にとって、現地の医師免許を取得して現地病院で働くことだけが道ではありません。

日本の医師免許や臨床経験を活かしながら、海外生活と両立しやすい働き方は複数あります。

オンライン診療。自由診療問診。海外在住日本人向け医療相談。医療監修。メディカルライティング。製薬会社。CRO。医療AI。ヘルスケアスタートアップ。

もちろん、どの道にも注意点があります。オンライン診療には医療機関の体制と法令確認が必要です。自由診療にはコンプライアンスが必要です。製薬会社やCROには英語力と業界理解が必要です。医療AIには責任範囲の確認が必要です。海外移住にはビザ、税務、学校、保険、生活費の整理が必要です。

しかし、正しく準備すれば、医師としてのキャリアを手放さずに海外で暮らす道はあります。

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参考情報

本記事は、厚生労働省の医師統計、オンライン診療指針、職業紹介・募集情報等提供に関する公開情報などを参考に、海外移住を検討する医師向けに一般的な情報として整理したものです。

  • 厚生労働省「令和6年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」
  • 厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」
  • 厚生労働省「職業紹介事業と募集情報等提供事業の区分」