Country Guide for Japanese Doctors

医師が海外移住するならどの国がいい?
生活費・税制・学校・医師免許で比較

海外で暮らしたい医師にとって、国選びは「好きな街に住む」というだけでは決まりません。仕事、ビザ、税務、子どもの学校、英語環境、生活費、治安、そして将来的に現地医師免許へ進めるか。この記事では、医師家庭が本当に見るべき観点で主要10カ国・地域を比較します。

Aurelia Doctors Abroad国別比較読了目安 25分LINE @261eeqob

医師が海外移住を考えるとき、最初に目に入るのは「どの国が住みやすいか」という情報です。けれど、一般向けの移住ランキングは、医師にはそのまま使えません。

医師には、他の職種とは違う事情があります。日本の医師免許をどのように活かすのか。海外在住のまま日本向けに働けるのか。将来的に現地の医師登録を目指せるのか。家族帯同なら子どもの学校はどうするのか。日本と居住国の税務はどう整理するのか。これらを見ずに「暖かくて安いから」「英語が通じるから」だけで国を決めると、後から大きく詰まることがあります。

この記事では、ポルトガル、スペイン、UAE、タイ、インドネシア/バリ、マルタ、アイルランド、英国、オーストラリア、カナダを対象に、医師家庭にとっての現実的な比較を行います。なお、ビザ、税務、医師登録制度は変更されやすいため、ここでの情報は検討の入口として使い、実際の申請や移住判断では各国政府・専門家に確認してください。

まず結論:医師家庭にとっての総合バランス

最初に、Aurelia Doctors Abroadとしての総合目安を示します。これは公的なランキングではありません。生活コスト、教育環境、英語、税制、医師キャリア、移住ルート、治安、気候を総合して、海外移住を検討する日本人医師にとって使いやすい順に整理した編集部スコアです。

主要10カ国・地域の総合目安

ポルトガル
82
スペイン
80
UAE
76
タイ
70
マルタ
68
カナダ
65
オーストラリア
64
アイルランド
61
英国
59
インドネシア/バリ
55

上位に来るのは、ポルトガル、スペイン、UAEです。ポルトガルとスペインは、家族帯同、気候、食事、欧州生活、生活満足度の面で強く、医師が日本向けリモート業務を維持しながら暮らす候補として魅力があります。UAEは税制、英語環境、ビジネスのしやすさが強い一方、気候や教育費、生活費が合うかどうかを見極める必要があります。

英国、アイルランド、オーストラリア、カナダは、英語圏かつ現地医師登録ルートが比較的明確ですが、生活費、家賃、医師登録の難易度、競争、時間コストを考えると、短期移住やリモート拠点としては重くなりやすい国です。将来的に現地臨床まで見据えるなら有力ですが、気軽な移住先ではありません。

タイやインドネシア/バリは、生活コスト、気候、リモートワーク拠点としての魅力があります。ただし、日本の医師免許から現地臨床に進む目的では難易度が高く、医師としては日本向けオンライン業務、医療相談、監修、AI、資産形成後の生活拠点として見る方が現実的です。

国別カード:ざっくり比較

以下は、各国を一目で見るためのカードです。詳細な国別ページは別途用意し、ビザ、生活費、学校、税務、医師免許の観点でさらに掘り下げていきます。

総合目安 82/100

ポルトガル

家族帯同・欧州生活・温暖な気候のバランスが良い。リスボン、カシュカイシュ、ポルトが候補。生活費は欧州内では中程度だが、リスボン周辺の家賃は上昇している。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 80/100

スペイン

気候、食事、生活満足度、都市選択肢の豊富さが強い。マドリード、バルセロナ、マラガ、マルベーリャが候補。税務・ビザ設計は事前確認が重要。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 76/100

UAE

税制、英語環境、国際校、ビジネス環境は強い。ドバイ、アブダビが中心。暑さ、教育費、医療費、生活コストには注意。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 70/100

タイ

生活費、食事、医療アクセス、暖かさが魅力。バンコク、チェンマイ、プーケットが候補。現地臨床より日本向けリモート拠点として考えやすい。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 68/100

マルタ

英語圏・EU・温暖な気候が魅力。国土が小さく選択肢は限られるが、英語で生活しやすい。教育費・住居費は要確認。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 65/100

カナダ

教育、治安、自然環境は強い。トロント、バンクーバー、カルガリーなど。医師登録は州ごとで難易度が高く、長期戦になりやすい。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 64/100

オーストラリア

英語圏、気候、教育、医師需要は魅力。シドニー、メルボルン、ブリスベンなど。医師登録ルートはあるが、時間と費用がかかる。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 61/100

アイルランド

英語圏・EUで、医療職の国際移動とも相性がある。ダブリン中心。家賃と生活費が高く、住宅難が大きな課題。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 59/100

英国

GMC登録ルートが明確で、医師キャリアの情報は多い。ロンドン、マンチェスターなど。生活費・競争・NHS環境を冷静に見る必要。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

総合目安 55/100

インドネシア/バリ

気候、生活費、リモートワーク文化が魅力。バリ、ジャカルタが候補。現地臨床ではなく、海外生活拠点として検討しやすい。

※スコアは、移住しやすさ、生活コスト、教育、英語、税制、医師キャリア、治安、気候をAurelia編集部が総合した参考指標です。

比較表:医師が見るべき項目

国選びでは、全項目で満点の国はありません。ある国は税制が強いけれど教育費が高い。ある国は生活費が低いけれど、医師免許の将来性が弱い。ある国は現地臨床への道があるけれど、生活費や英語試験の負担が大きい。したがって、自分が何を優先するかを決めて比較する必要があります。

国・地域候補都市生活コスト教育英語税制医師キャリア向いている医師
ポルトガルリスボン、カシュカイシュ、ポルト中。家賃上昇に注意リスボン周辺に国際校あり都市部は比較的通じる居住者税務の確認が重要現地臨床より日本向けリモート・将来EU展開家族帯同、欧州生活、温暖な環境を重視
スペインマドリード、バルセロナ、マラガ、マルベーリャ中。都市差大選択肢は多い英語だけでは限界ありBeckham法や居住者税務の確認が重要homologaciónや専門医制度が課題生活満足度、気候、家族教育を重視
UAEドバイ、アブダビ高。教育費も高い非常に豊富かなり通じる個人所得税なしの文脈で人気。ただし制度確認必須医療ライセンスは首長国ごと税制、法人、英語環境、国際校を重視
タイバンコク、チェンマイ、プーケット低〜中バンコク中心に選択肢都市部・医療機関では通じる居住者税務・送金ルールに注意現地臨床は難しい生活費、気候、リモート拠点を重視
インドネシア/バリバリ、ジャカルタ低〜中バリ・ジャカルタに選択肢観光地は通じる滞在資格と税務確認が重要現地臨床はかなり難しいノマド的生活、生活費、気候を重視
マルタスリーマ、セントジュリアン、バレッタ周辺中〜高小国ながら英語教育環境あり公用語として強い制度確認が必要登録制度はあるが小市場英語圏EU、温暖な島国生活を重視
アイルランドダブリン、コーク、ゴールウェイ高。住宅難に注意英語教育は強い非常に通じる高税率寄り。所得設計が重要IMC登録ルートあり英語圏EU、現地医師登録の可能性を重視
英国ロンドン、マンチェスター、エディンバラ高。特にロンドン非常に豊富非常に通じる高税率寄りGMC登録ルートが明確英語圏で医師キャリアを本格的に考える
オーストラリアシドニー、メルボルン、ブリスベン非常に豊富非常に通じる高税率寄りIMG pathwayあり現地臨床・永住・家族教育を長期で考える
カナダトロント、バンクーバー、カルガリー高。都市差大豊富非常に通じる高税率寄り州ごとのIMGルート教育・治安・永住を長期で考える

国選びで最初に決めるべきこと

医師が海外移住先を選ぶとき、最初に決めるべきなのは「どの国が人気か」ではありません。最初に決めるべきなのは、海外でどのように収入を得るかです。

現地で医師として働きたいのか。日本向けのオンライン診療や自由診療を続けたいのか。製薬会社やCROに移りたいのか。医療AIや監修を組み合わせたいのか。あるいは、資産形成後の生活拠点として海外に住みたいのか。

この答えによって、選ぶ国は大きく変わります。たとえば、現地医師免許を目指すなら、英国、オーストラリア、アイルランド、カナダのように国際医師登録ルートが比較的整理されている英語圏が候補になります。一方で、日本向けリモート勤務を中心にするなら、時差、生活費、家族の学校、税務、ビザの取りやすさが重要になり、ポルトガル、スペイン、UAE、タイなども有力になります。

つまり、国選びは「住みたい国」から始めるのではなく、「収入源」「税務」「家族」「学校」「将来の医師キャリア」から逆算する方が失敗しにくいです。

目的別おすすめ

家族帯同・教育重視

スペイン、ポルトガル、UAE、カナダ、オーストラリア。インターナショナルスクールの選択肢、治安、生活環境を重視する場合に検討しやすい国です。

現地医師キャリア重視

英国、オーストラリア、アイルランド、カナダ。試験・語学・登録要件は重いですが、IMG向けの制度情報が比較的整っています。

リモート勤務・生活拠点重視

ポルトガル、スペイン、タイ、バリ、UAE。日本向けオンライン業務や医療監修を維持しながら、生活環境を変えたい医師に向きます。

ポルトガル:欧州生活と家族帯同のバランス型

ポルトガルは、海外で生活したい日本人医師にとって、非常に現実的な候補です。温暖な気候、比較的穏やかな治安、英語の通じやすさ、国際的な学校、欧州内での移動のしやすさがあり、家族帯同にも向いています。

候補都市は、リスボン、カシュカイシュ、ポルトが中心です。リスボンは仕事、学校、交通、国際性のバランスが良く、カシュカイシュは海沿いで家族生活に向きます。ポルトはリスボンより落ち着いた雰囲気で、生活費もやや抑えやすい可能性があります。

ただし、リスボン周辺の家賃は上昇しており、昔のように「安い欧州」とだけ見るのは危険です。インターナショナルスクールの学費、車、保険、外食、税務相談費用まで含めると、家族帯同の生活費はそれなりにかかります。

医師キャリアとしては、短期的には日本向けのオンライン業務、医療相談、医療監修、AI、製薬/CROのリモート業務との相性が中心になります。現地で医師として働くには、ポルトガル語、医師免許認証、専門制度などの壁があり、簡単ではありません。したがって、ポルトガルは「現地臨床をすぐ目指す国」というより、「欧州生活を実現しながら、日本の医師免許や経験を別の形で活かす国」として見る方が現実的です。

スペイン:生活満足度と家族環境の魅力

スペインは、気候、食事、都市の魅力、子育て環境、生活の楽しさという点で非常に強い国です。マドリード、バルセロナ、マラガ、マルベーリャ、バレンシアなど、都市の選択肢も豊富です。

医師家庭にとっては、インターナショナルスクールの選択肢、子どもの生活環境、外食、スポーツ、海、文化が魅力になります。特に南部のマラガやマルベーリャ周辺は、気候が良く、国際的な住民も多く、家族移住の候補になりやすい地域です。

一方で、スペイン語は生活上かなり重要です。観光地や国際校周辺では英語も通じますが、行政、医療、賃貸、学校手続き、税務ではスペイン語が必要になる場面が多くあります。

医師免許については、将来的にスペインで医師として働きたい場合、学位認証や語学、専門制度などが大きなテーマになります。日本の医師免許だけで簡単に現地臨床へ移れるわけではありません。ただし、EU内での長期生活を目指し、将来的にhomologaciónを進めるという戦略はあり得ます。

スペインは、「今すぐ現地臨床で稼ぐ国」ではなく、「家族で生活しながら、リモート業務や自由診療、製薬/CRO、将来の現地医師資格を組み合わせる国」として考えると現実的です。

UAE:税制・英語・国際校の強さ

UAE、特にドバイは、医師にとって非常にわかりやすい魅力があります。英語が広く使われ、国際校が多く、法人設立や居住ビザの導線が整っており、ビジネス環境も国際的です。

税制面でも注目されやすい国ですが、税務上のメリットだけで判断するのは危険です。法人税、居住者判定、日本側の税務、銀行口座、実体要件、家族の居住、教育費などを含めて考える必要があります。

生活コストは高めです。特に、住居、インターナショナルスクール、医療保険、車、外食、レジャーに費用がかかります。一方で、英語で生活しやすく、日本人医師が海外移住後も国際的な仕事や法人運営を行う拠点としては魅力があります。

医師として現地で働くには、DHA、DOHなど各当局の医療ライセンスが必要になります。専門科、経験年数、試験、書類審査などが関係するため、現地臨床を目指す場合は別途専門的な確認が必要です。

UAEは、税制と英語環境、国際校、法人設立、リモートワーク拠点を重視する医師には魅力的ですが、生活費と暑さ、教育費を冷静に見る必要があります。

タイ:生活費と医療アクセスのバランス

タイは、海外生活のハードルが比較的低く、生活費、食事、気候、医療アクセス、交通の面で魅力があります。候補都市は、バンコク、チェンマイ、プーケットです。

バンコクには日本人コミュニティ、国際病院、インターナショナルスクール、商業施設が揃っています。医師家庭にとって、子どもの学校や医療アクセスが比較的見えやすい都市です。チェンマイは生活費を抑えやすく、落ち着いた環境を好む人に向きます。プーケットは海と国際的な生活環境が魅力ですが、学校や交通、医療アクセスはエリアによって差があります。

医師キャリアとしては、タイで現地医師として働くことは簡単ではありません。言語、資格、規制、医療制度の違いが大きいため、日本人医師にとっては、日本向けオンライン業務、自由診療、医療相談、監修、医療AIなどを維持しながら生活拠点にする方が現実的です。

タイは、生活費と快適さを重視し、現地臨床よりもリモート収入を前提にする医師に向いています。

インドネシア/バリ:ノマド的生活とリモート拠点

バリは、リモートワーカー、ノマド、海外生活に興味がある人に人気があります。気候、自然、生活費、カフェ文化、国際的なコミュニティが魅力です。

医師にとっては、現地臨床というより、海外生活をしながら日本向けのオンライン業務や医療監修を行う拠点として考えやすい地域です。バリには国際校もありますが、教育水準、学費、通学、住むエリアを慎重に見る必要があります。

インドネシアでは、滞在資格と税務の確認が重要です。ノマド的に滞在する場合でも、長期化すると税務やビザの扱いが問題になります。

バリは、医師としての現地キャリアを作る国ではなく、リモート収入、資産形成、生活の自由度を重視する医師に向いています。

英語圏:現地医師キャリアを考えるなら有力だが重い

英国、アイルランド、オーストラリア、カナダは、英語圏であり、国際医師登録の制度情報が比較的整っています。将来的に現地臨床を目指すなら、有力な候補です。

英国ではGMCの登録ルートがあり、国際医学部卒業者向けのPLABなどの情報が公開されています。オーストラリアでは、Medical Board of AustraliaやAMCのIMG向けpathwayが整理されています。カナダでは州ごとの規制当局とMedical Council of Canadaが関係し、IMG向けの手順が案内されています。アイルランドもMedical Councilへの登録が必要です。

ただし、これらの国は生活費が高く、医師登録には時間と費用がかかり、英語力も高い水準が求められます。日本で十分な臨床経験があっても、現地制度では一から証明し直す必要があります。

したがって、英語圏を選ぶなら「現地臨床を本気で目指すのか」「子どもの教育や永住を重視するのか」「最初の数年の生活資金を確保できるのか」を考える必要があります。

インターナショナルスクールで見る国選び

家族帯同の医師にとって、学校は仕事と同じくらい重要です。国によって、インターナショナルスクールの選択肢、カリキュラム、学費、入学時期、英語サポート、日本語維持のしやすさが大きく異なります。

選択肢の豊富さでは、UAE、英国、カナダ、オーストラリア、スペインの大都市が強いです。ポルトガルもリスボン、カシュカイシュ、ポルト周辺には国際校がありますが、人気校は定員や学費の問題があります。タイのバンコクも国際校が多く、家族帯同先として見やすい都市です。

一方で、学校の選択肢が豊富な国ほど、学費も高くなりやすいです。UAE、英国、カナダ、オーストラリアでは、住居費に加えて教育費が大きな負担になります。海外移住の生活費を計算するときは、家賃だけでなく、学費、スクールバス、入学金、制服、課外活動、サポート費用まで入れる必要があります。

医師家庭の場合、子どもの年齢によって最適な国は変わります。幼児期なら英語環境への適応を優先しやすいですが、小学校高学年以降では日本語維持、進学、帰国可能性、IBや英国式カリキュラムなども考える必要があります。

税制で見る国選び

海外移住で最も見落とされやすいのが税務です。医師は収入が高く、勤務形態も複雑になりやすいため、一般的な移住者より税務リスクが大きくなります。

特に、海外在住のまま日本のオンライン診療、業務委託、役員報酬、医療監修、法人収入を得る場合、日本側と居住国側の両方で税務を確認する必要があります。日本の非居住者になるのか、日本に恒久的施設があると見られるのか、報酬が国内源泉所得と扱われるのか、居住国で申告が必要か、社会保険をどうするか。これらは国と契約形態によって変わります。

UAEのように税制面で魅力がある国でも、日本側の居住者判定や法人実体の問題を無視することはできません。ポルトガルやスペインでは居住者税務、特例制度、社会保険、家族帯同後の生活実態が重要になります。英語圏では所得税や社会保険負担が重くなる場合があります。

税制だけで国を選ぶのではなく、生活実態、家族、仕事、法人、資産、将来の帰国可能性まで含めて専門家に相談することが重要です。

日本の医師免許から現地医師へ進めるか

日本の医師免許は、日本国内で医師として診療するための資格です。海外でそのまま医師として働けるわけではありません。

ただし、国によって、国際医学部卒業者や海外医師向けの登録ルートが整備されている場合があります。英国、オーストラリア、カナダ、アイルランドなどは、IMG向けの制度情報が比較的多く、将来的に現地臨床を目指すなら候補になります。

一方で、スペイン、ポルトガル、マルタなどEU圏では、学位認証、言語、専門制度、EU内資格認証の枠組みなどが関係します。日本の医師が非EU資格として入る場合、時間がかかる可能性があります。

タイ、インドネシア、UAEなどでは、現地医師ライセンスの制度はありますが、日本人医師が現地臨床へ入るには、言語、試験、資格、当局承認、雇用先などのハードルがあります。これらの国は、現地臨床よりも日本向けリモート勤務や非臨床業務の拠点として考える方が現実的な場合があります。

医師免許の将来性を考えるなら、国を選ぶ前に、以下を確認しましょう。

  • 日本の医学部卒業資格がどのように評価されるか
  • 医師国家試験や登録試験が必要か
  • 語学要件は何か
  • インターン・研修歴が認められるか
  • 専門医資格は評価されるか
  • 現地で就職先を得られる可能性があるか
  • 登録までの期間と費用はどれくらいか

医師におすすめの現実的な戦略

海外移住を考える医師にとって、最も現実的なのは、最初から一つの道に絞りすぎないことです。

たとえば、ポルトガルやスペインに移住しながら、日本向けオンライン業務、自由診療、医療監修、医療AIで収入を作る。同時に、英語やスペイン語を伸ばし、製薬/CROや現地医師資格の可能性を探る。あるいは、UAEを拠点に法人設計や国際的な仕事を増やしながら、医療AIやヘルスケア顧問に進む。英語圏を目指すなら、日本にいる間からIELTS/OET、CV、推薦状、臨床経験の整理を始める。

このように、移住国と仕事を同時に設計することが重要です。

海外生活は、行けばなんとかなる部分もあります。しかし、医師の場合は、免許、税務、契約、家族、学校、保険が絡むため、準備不足のまま動くとリスクが大きいです。逆に言えば、準備をすれば、海外で暮らす医師という選択肢は現実になります。

まとめ:国選びは「暮らし」と「仕事」を同時に見る

海外で暮らしたい医師にとって、国選びは人生の方向性を決める大きなテーマです。

ポルトガルやスペインは、家族帯同、気候、生活満足度、欧州生活との相性が良い国です。UAEは、英語環境、税制、法人、国際校の面で強い国です。タイやバリは、生活費と快適さ、リモート拠点としての魅力があります。英国、アイルランド、オーストラリア、カナダは、英語圏で現地医師キャリアを見据えるなら有力ですが、重い準備が必要です。マルタは英語圏EUとして面白い選択肢ですが、市場の小ささに注意が必要です。

どの国も完璧ではありません。だからこそ、医師は「どこに住みたいか」だけでなく、「どの働き方をしたいか」「家族に何が必要か」「税務とビザをどうするか」「将来の医師キャリアをどう考えるか」をセットで考える必要があります。

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まずは情報収集からで構いません。日本の医師免許を、日本の中だけで終わらせない。海外で暮らす医師という選択肢を、今日から少しずつ現実にしていきましょう。

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参考情報・出典

・OECD, Health at a Glance 2025: international migration of doctors. 外国で訓練を受けた医師の国際移動に関するデータ。

https://www.oecd.org/en/publications/health-at-a-glance-2025_8f9e3f98-en/full-report/international-migration-of-doctors_17ff3227.html

・Numbeo Cost of Living Index by City 2026. 生活費の都市別比較の参考。利用者投稿型データであり、実際の家計とは差があります。

https://www.numbeo.com/cost-of-living/rankings.jsp

・General Medical Council. Full registration for international medical graduates.

https://www.gmc-uk.org/registration-and-licensing/join-our-registers/registration-applications/application-guides/full-registration-for-international-medical-graduates

・Medical Board of Australia. Pathways to registration for international medical graduates.

https://www.medicalboard.gov.au/Registration/International-Medical-Graduates.aspx

・Medical Council of Canada. Pathways for international medical graduates.

https://mcc.ca/credentials-and-services/pathways-to-licensure/pathways-for-international-medical-graduates/

・Medical Council Malta. Application Forms and Procedures.

https://medicalcouncil.gov.mt/en/registration/application-forms-and-procedures/